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最高裁判所第二小法廷 昭和33(オ)1114 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人D、同高橋正平、同吉田賢三の上告理由第一点について。

論旨は、本件催告は、請求金額につき具体的な表示を欠くから、本件賃貸借解除

の前提としての催告の効力を有しないのにも拘らず、これを有効とした原判決には、

民法五四一条の解釈を誤つたか、審理不尽理由不備の違法があるという。

しかし、民法五四一条所定の催告は、債権者が履行を求める債務の内容を債務者

に知らしめる程度のものであれば足り、本件のごとく給付の目的が金銭である場合

でも、その金額のごときは必ずしも明示することを要しないと解すべきところ、原

審の適法に確定した事実によれば、本件催告の内容は、「各統制額に値上げされた

地代を計算して延滞地代を支払われたい」というにあり、その金額を具体的に表示

はしなかつたけれども、被上告人は、上告人に対し告示改正の都度統制額を明示し

て地代値上の意思表示をしており、また、本件催告に先立ち屡々統制額どおりの地

代を請求しているのみならず、本件土地に関する事柄の殆んど全部につき上告人を

代行していたその父Eは被上告人より地代値上の請求を受けてから、履々税務事務

所その他で本件土地の統制地代額を調査しており、上告人において本件催告当時本

件土地の統制地代額につき十分の知識を有していたというのであるから、本件催告

は、被上告人が支払を求める地代の金額を上告人に了知せしめるに十分であり、従

つて、本件賃貸借解除の前提たる催告として有効であるといわなければならない。

所論は、原審の事実認定を争いこれを前提とするか、または、独自の見解により原

判決を非難するものであつて採用するを得ない。

同第二点について。

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論旨は、本件賃貸借契約には、昭和二一年九月三〇日より向う五ケ年間は地代の

値上をしない旨の特約があつたのであるが、原審がこの点を釈明せしめず、漫然被

上告人の本件地代の増額請求を有効としたのは、借地法一二条の解釈適用を誤つた

か、審理不尽理由不備の違法があるという。

しかし、所論は、原審において主張しない事実であり、裁判所に所論のごとき点

につき釈明義務があることを前提とするものであつて、かかる前提自体理由がない

から、採用するを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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